ハープ弦について

~オクダーブの数え方と通し番号~

ハープの弦は一本一本が異なる長さ、ゲージを持っていますので、交換したり新しく購入したりする際には「それがどの弦なのか」を正確に数える必要があります。
このときに「3番と18番の弦」というように通し番号でいう方法と、「1オクターブの“ド”と3オクターブの“シ”」というようにオクターブ数と音名を組み合わせていう方法があります。
ところが、この「オクターブ」がハープではちょっと変わった数え方をします。弦をはじめてご注文になったお客様から「張ってみたら全然まわりの弦と太さがちがうみたいだけど???」「オクターブはあっているはずなのに、番号がちがうんだけど???」といったお問い合わせをいただくのは、このオクターブの数え方が原因となっていることが多いようです。
「1オクターブ」というとき、ほとんどの方が“ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド”と“ド”の音を起点にした上昇型の音列を思い浮かべられるではないでしょうか。
ところがハープの世界では、オクターブの起点は伝統的に“ミ”の音です。しかも“ミ・レ・ド・シ・ラ・ソ・ファ”と低い音に向かってオクターブを数えていきます。
以下にハープの種類による弦の数え方の違いをあげます。


グランドハープ(ペダルハープ)

47弦のグランドハープ(ペダルハープ)の最高音の弦は通常、“ソ”ですが、この弦と、その隣りの“ファ”の弦はオクターブの起点外となります。このため、通常「0オクターブの“ソ”」(通し番号ではNo.00)、「0オクターブの“ファ”」(通し番号では「No.0」)と呼んでいます。
3本目の“ミ”の弦が「1オクターブの“ミ”」(通し番号では「No.1」)となり、以下、順に低い音に向かって“ミ”の音ごとに2オクターブ、3オクターブ・・・と数え、47弦のグランドハープの最低音の“ド”は「7オクターブの“ド”」(通し番号では「No.45」)となります。
46弦のグランドハープ(ペダルハープ)は、47弦の楽器より最低音の“ド”の弦1本分が少なくなっております。したがいましてオクターブ、通し番号の数え方、ともに47弦とほぼ同じで、7オクターブは“レ”まで(通し番号では「No.44」)です。

グランドハープ(ペダルハープ)の音域と弦のオクターブ、通し番号

ときおり「オクターブ」のかわりに「~本目の」とご注文をいただくことがあるのですが、たとえば「4本目の“レ”」などですと「1本ずつ数えて4本目の“レ”」(「1オクターブの“レ”」、通し番号では「No.2」)と「オクターブで数えた4本目の“レ”」(「4オクターブの“レ”」、通し番号では「No.23」)のどちらともとれるような場合がございます。
〈オクターブ+音名〉と〈通し番号〉を併用して「3オクターブの“ド”、No.17」とおっしゃっていただくような方法が一番間違いが少ないでしょう。
なお、教本によっては、他の楽器と対比してハープの音域を示すために「1C」「a」「f4」などの記号を記載している場合がございますが、これらの記号による表現は口頭では伝えにくく、また「f4」「1C」といった〈数字+音名〉の表現が〈オクターブ+音名〉の表現と取り違えやすいため、一般的にはハープの弦を数える場合には用いません。

ノンペダルハープ

ノンペダルハープはメーカーにより様々な弦数のものがあり、音域もそれぞれ異なっています。
そのため、グランドハープ(ペダルハープ)のように統一された弦のオクターブの数え方はありませんが、アオヤマハープではグランドハープの音の高さを基準にして下記のようにオクターブを設定しております。

ノンペダルハープの音域と弦のオクターブ、通し番号

アオヤマハープのモデルのうち、34弦タイプの100A、130シリーズ、34Sシリーズでは、最高音の「ラ」から3本目の「ファ」までが「1オクターブ」、次の「ミ」からが2オクターブとなり、最低音の「ド」は「6オクターブのド」となります。
36弦タイプの140シリーズは高音側が2弦多くなっておりますので、最高音の「ド」から5本目の「ファ」までが「1オクターブ」となり、あとは34弦のタイプの楽器と同じように数えます。
41弦の150シリーズ Artemis[アルテミス] は140タイプよりさらに高音側に2弦、低音側に3弦多くなっています。最高音の「ミ」から7本目の「ファ」までが「1オクターブ」となり、最低音は「6オクターブ」の「ソ」です。
通し番号で数える場合は、34弦タイプの最高音「ラ」をNo.1とし、以下順に低い音に向かって数え、最低音の「ド」はNo.34となります。36弦タイプの場合、最高音の「ド」は「D1」、次の「シ」は「D2」。41弦タイプの最高音「ミ」は「D00」、「レ」は「D0」。低音の弦は順に数えていきますので、最低音の「ソ」が「No.37」となります。


サウルハープ

サウルハープの音域は、36弦タイプの140シリーズの最高音から25本目までと同じです。ですので最高音の「ド」から「ファ」までが1オクターブ、6本目の「ミ」からが2オクターブとなりますが、こういった「オクターブ」をつかった弦の呼び方をされることはほとんどなく、もっぱら通し番号を用い、下記のように最高音の「ド」をNo.1とし、最低音の「ソ」をNo.25と数えます。29Sの最低音はNo.29となります。

サウルハープの音域と弦の通し番号